園長だより アーカイブ

もうじき坂戸幼稚園でも運動会です。その運動会を前にして、園長だよりのアーカイブを皆さんにお届けすることにいたしました。運動会では競技種目もあります。ですから、子どもたちの中では真剣な勝負の世界も存在します。けれども、幼稚園の運動会では、ただ勝った、負けただけではない、運動会を通して育てたいものが本当にあります。それを、園長先生の実の娘のエピソードからお伝えしたいと思います。平成22年1月、2月の園長だよりです。

 

ただ好きでいるということ

気付けば12年の歳月が過ぎていました。こうして数字に置き換えてみると、長く、そしてあっけなく感じられます。それはたぶん、あまりにも日常だったからなのだと思います。

 

私事で恐縮ですが、次女のフィギュアスケートの話です。思い返せば本当にたまたまの縁でした。長女が藤組(5歳)次女が3歳の冬でした。何気なく訪れたスケートリンクに、冬休みスケート教室の案内が掲示されていました。「行ってみる?」きっかけはそれだけのものでした。

 

3日間のレッスンを終え、親の勧めのまま長女はサンデー教室に通いだしました。その頃次女はあくまでオマケで、長女のレッスンの間、動かないゲーム機の側でちょこちょこと時間をつぶしていました。

 

長女がスケートを始めた同じ歳、梅組の時に次女もスケートを始めました。きっかけは「Nちゃんもやってみる?」それだけでした。

 

その後、長女と一緒に“教室”に通い、小学校3年生の時に本格的にコーチに付き、選手コースの練習を始めました。以降、週6日間、学校が終わればリンクにいました。彼女たちの日常が始まったのです。

 

1年程前、次女がポツリと私に言いました。「私、いつまでスケートやるのかな?Kコーチは私が止めたら悲しいかな?」と。私が「スケート止めたいと思っているの?」と尋ねると「そうじゃないよ。ただ何となく思うだけ。私、スケート止めたいって思ったこと一度もないんだよね。好きだから。でも、これだけしてていいのかな、って思うことはある」と答えました。

 

私は「それなら今決める必要はないと思うよ。その時その時の自分の気持ちに正直に進んでいけばいいんじゃないかな。Nちゃんのスケートは自分のためにやってね」と、戸惑いを胸の内に隠し、ようやくそう言葉にしました。

 

長女が椎間板ヘルニアを患い、思うように滑れず、リンクに立つことさえも苦しくなり、止める決心をしたのが高2の時でした。姉のその時とその後を見てきた次女にも思うところがあったでしょう。また過ぎゆく歳月の中で、幾人もの仲間がリンクから離れてもいきました。

 

練習を、努力を重ねてきても競技の世界は厳しいものです。良いこともあれば、そうでないこともあります。自分次第の時もあれば、自分だけではどうにもならない時もあります。そして自分の今と未来に向き合う時が来ます。時折、競技ではなく、演技だけの世界で滑れていればどれほど楽だったことかと思います。

 

ただ「好きだから」と言い、滑り続けてきた次女は、先週2度目のインターハイに出場してきました。そして今週末には国体に出場することになりました。「すごい、すごい」と頭では思いながらも、心はあまりにも日常の延長戦上にある自分が不思議でなりません。

 

心の中にあるのは、ただ「好きなことを大切にしてね」ということと「いつこの日常が突然終わるかもしれないからただ見ていたい」と思うことだけです。

 

ただ「好きでいること、いられること」の大切さと強さを思います。始まりも、継続も、挑戦も、迷いや悩みさえも全てがそこにつながっている。だから、ただ好きなものを、ただずっと好きでいられるように、私たち親は、「見ていてあげるね」と歩調を合わせて向こう岸を一緒に歩いてあげるだけでいいのでしょう。

 

ただ好きでいるということ 〜後記〜

次女の国体の応援に行ってきました。色々な意味で刺激的な大会でした。そして、様々なことを考えてきました。

 

今回は少し遠いところへの応援・・・ぐらいの呑気さで出かけていった私なのですが、リンクに近づくにつれ、これまでの大会とは異なる雰囲気に圧倒され、最寄り駅で偶然見かけた次女がSAITAMAと入ったグランドコートを羽織り、足早に監督と遠ざかっていく姿を見て、小さく「Nちゃん・・・」とつぶやきながら、ヘナヘナとその場に座り込んでしまいそうになりました。娘は随分と遠いところに来てしまった、と思いました。

 

競技が終わったその晩に娘と夕食を取りながらこんな会話をしました。

 

娘「私、大学生になったら自分で決めた好きなことしてみる」

私「うん?」

娘「私、今まで自分からやりたいって決めて始めたことなかったなって思ったの。スケートもお姉ちゃんがやってたからだし・・・」

私「そうかな?確かにきっかけはそうかもしれないけど、Nはずっと続けてきたよね。いつだって止める事もできたよ。続けるってことは、それをNが選んできた、自分で決めてきたってことなんじゃないのかな?」

娘「私ね、私がもっと何もかもいらないって思うほど本気で好きだったら、違ってたのかなって思った。西野友毬ちゃん(娘と同年齢で全日本でもトップスケーター)みたいになれたのかなって」

 

実は、出発の前日に出来あがったばかりの前号のびのびつうしんを「Nちゃんのこと書いたの。読む?」と手渡しました。読み終えた娘は、ひと言ため息交じりに「うーん」と言いました。その時の意味が分かりました。娘の好きは私が想像していたものとは温度差があったのだろうと。

 

今回の滑りは娘にとって本意なものではありませんでした。加えて、私には同世代のスケーターの中で自分がいる場所の現実を突きつけられたことに胸を痛めているようにも見えました。まるで行き先に霞(かすみ)のかかったような中を歩く自分のスケートがあることを知り、私には続けていくだけの気持ちがあるのかな?というように。

 

翌日、ふたり並んで成年男子と少年男子の競技を見ました。少年女子のピリピリとしたムードとは一転して、和やかで、一種お祭りムードの楽しい内容でした。国体のフィギュアスケートは二人一組が参加資格である上に、まだまだ競技人口の少ない世代、地域の男子スケートでは、県によっては一人が現役、一人は数年前に引退した社会人であったり、片腕骨折中の選手がもう一人のために出場していたり。

 

そのため得点も、小塚崇彦選手の全日本レベルの得点からローカル競技会のような得点まで、それは様々です。国体だから、国体なのにという考え方もあるでしょう。しかし、私にはそれぞれの選手のスケートの在り様が、その選手が辿(たど)ってきた日々が、とても勝手ながら、この上なく愛しく感じられました。

 

やっぱり色々な“好き”の形がある。猛烈なのも、ぼんやりしているのも。勝つために必要なのも、楽しむためのものも。もちろん、その時々で思いの強さも変わり続けるのでしょう。その全てが私にはとても尊いことに思えて、ただ好きでいることの重みを改めて知らされました。

 

そして心から願います。どんな“好き”な形も柔軟に受け入れる環境があって欲しいと。周囲の大人たちが結果だけを急いで、子どもたちを追い詰めたり、燃え尽きさせることのないように。ただ好きなことを存分に、安心して、大切にできるようにと。

 

大会から戻った翌日、風邪気味だった娘は、「休めば」という私の言葉に「具合が悪くなったら帰ってくるから」と答えて、いつものようにリンクに出掛けていきました。

 

国体で出会った色々な“好き”の在り様が、娘を支えてくれているのかもしれない・・・と思いました。

 

園長 浅見 美智子

 

園長だより | 13:09 | comments(0)

園長だより H29年10月

プロセスで育つ

も間近な行事、運動会。きっとご家庭でも子どもたちから様々なお話が聞かれていることでしょうね。坂戸幼稚園の運動会は、時間をかけてゆっくりと創られていきます。最初の頃はどれもまだ競技とはほど遠く、「あれやってみたい」「これ使ってみたい」とオリジナルの遊び方で展開されています。

 

保育者は内心の“あせり”をよそに、少しずつ少しずつ競技に向かっていくために必要な“子どもたちに気づいてもらいたいこと”を整理し、提案しながら一緒に創り上げていきます。

 

また、あれこれ試して「上手くいかない」「イメージ通りにならない」「一人ではちょっとムリみたい」等の困った体験や障害になる出来事は宝物です。そうした過程の中で子どもたちが見せてくれる“発見”や“言葉”の中には、子どもたちの成長と学びがいっぱい詰まっています。

 

してこの時期、子どもたちは「観る」ようになります。「意識を向けるようになる」と表現しても良いかもしれません。いつも遊んでいる友だち、クラスメート、異年齢の子たちへのまな差しが変わっていきます。例えば「ああすれば上手くいくんだ」「こんな方法もあるんだ」といった具体的な手段や工夫、解決策に気づき取り入れてみたり、まだ自分には出来なかったり、行なったことがない活動に関心を寄せ真似てみたり、友だちや異年齢の子の頑張っている姿や可愛らしさに心を動かしたりと、子どもたちひとりひとりが運動会への日々の中で、それぞれに感じたり、考えたりしながら育っていきます。

 

運動会は勝負あり、競争あり、成果結果が目に見えてわかりやすいものです。出来るようになったことや勝ったこと、上手くいったことは、子どもにも大人にも喜びであり、次の行動を奮起させる大切な要因にもなるでしょう。だからこそ、決して忘れてはならないのが、ひとりひとりの子どもたちが通ってきたプロセスです。

 

んな思いを抱きながら、どんな風にして、今の姿にたどり着いたかを理解し、心から共感し、ほめ称えてあげること…そばにいる大人の最も大切な役目だと思っています。

 

子どもたちみんなで創る運動会をどうぞ応援して下さい。支えてあげて下さい。そして一緒に思い切り楽しんで下さい。

 

幼稚園教育要領が改訂されます−その2−

月の園長だよりでは、幼稚園教育要領改訂の背景について記しました。今回は、抜粋ではありますが、改訂の概要についてお伝えしたいと思います。

 

<学習指導要領等改訂の概要―改訂の基本方針◆宗

幼稚園教育要領の改訂については、中央教育審議会答申を踏まえ、次の基本方針に基づき行った。

〕鎮娜犇軌蕕砲いて育みたい資質、能力の明確化

幼稚園教育で育みたい資質、能力として、次の3つを示し、幼稚園教育要領第2章に示すねらい及び内容に基づく活動全体によって育むこと。

 ・「知識及び技能の基礎」

 ・「思考力・判断力・表現力等の基礎」

 ・「学びに向かう力、人間性等」

⊂学校教育との円滑な接続

 ・「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」の明確化

 ・「幼児期の終わりにまでに育って欲しい姿」を小学校の教師と共有するなど連携を図り、幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続を図

   ること。

8渋綸な諸課題を踏まえた教育内容の見直し

 ・現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しを図ること。

 ・いわゆる預かり保育や子育て支援の充実を図ること。

 

回の改訂では、幼稚園教育要領の基本原則を示す「第一章 総則」を抜本的に改善し、必要な事項を分かりやすく整理したとあります。その総則の中で、保護者の皆様にぜひ知っていただきたい2点を取り上げたいと思います。

 

「環境を通して行う教育」を基本とする。

 ・幼児の主体的な活動を促し、幼児期にふさわしい生活を展開(幼児は安定した情緒の下で自己発揮することにより発達に必要な体験を

  得ていく。)

 ・遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。(「遊び」は幼児にとって重要な「学

  習」)

 ・一人一人の発達の特性に応じること。

 ※環境とは、物的な環境だけでなく、教師や他の幼児を含めた幼児の周りの環境すべて。

 

下に記す「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」をご理解いただく上で、上記の文章はとても大切になります。あわせて「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」が到達すべき目標でないことや、個別に取り出されて指導するものではないことに留意が必要とあります。

 

「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」を明確化

5領域(健康、人間関係、環境、言葉、表現)のねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の具体的な姿であり、教師が指導を行う際に考慮するものである。

(1)健康な心と体(2)自立心(3)協同性(4)道徳性・規範意識の芽生え(5)社会生活との関り(6)思考力の芽生え(7)自然

 との関わり・生命尊重(8)数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚(9)言葉による伝え合い(10豊かな感性と表現

(※詳細は本誌18ページにて)

 

来月は、小学校教育との接続とスタートカリキュラムについてお伝えします。

 

園長 浅見 美智子

園長だより | 14:30 | comments(0)

園長だより H29年9月

2学期が始まりました

 

うしちゃったのかしら?と思う今年の夏。目まぐるしく変化

する今年のお天気に、園の夏の行事も翻弄されてしまいましたね。

季節の折々に行っている園行事には、子どもたちの体験の中での

学びや育ちへの願いがあり、とても大切に考えています。ですの

で、当日を迎えるまで「どうか今年も…」と祈る気持ちで過ごし

ています。

 

台風予想のために決行した室内での夏祭りでは保護者様はじめ

沢山の方々のご理解とご協力をいただき心よりありがとうござい

ました。暑さや混雑の中でにこやかにその場を楽しんで下さる方

や励ましのお言葉を届けて下さる方、職員の手の足りなさを見か

ねて無言でお手伝いをして下さる保護者様の思いに触れて、私は

胸がはちきれんばかりの思いでおりました。皆様と皆様のお子様

とご一緒に過ごさせてもらえる私たちは本当に幸せです。ありが

とうございます。

 

ただ…ここ数年の地球規模での気象の変化や社会情勢を考える

時、「これまでの様に…」ではなく、行事運営の仕方も抜本的に

見直す必要に迫られていると感じています。子どもたちの未来と

幸せのために、私たちができることを丁寧にひとつずつ取り上げ、

行っていこうと思います。

 

て、本日から2学期が始まりました。2学期は心身ともに大き

く育つ充実期です。友だちや先生と一緒に、一生懸命に第二の

生活の場としての園生活を築いてきた子どもたちが、様々な経験

を通じて更にしなやかに大きく育ってくれることを願います。

嬉しさ、楽しさ、くやしさ、悲しさetc生活の中でのお子様の

つぶやきを沢山聞いてあげて下さいね。「そうなの!」「すごいね」

大丈夫だよ」「そう、悲しかったね」と、お子様の時々の思いを

受け止めて、寄り添ってあげて下さいね。そうした思いに守られ

ながら、子どもたちは自分の力で大きくなっていきます。どうぞ

応援して下さい。

 

様々な行事が盛り沢山な2学期を私たちも子どもたちと一緒に

思い切り楽しんでまいります。2学期もご支援とご協力をよろし

くお願いいたします。

 

幼稚園指導要領が改訂されます

 

年度2月にもお知らせいたしましたが、平成29年3月

31日に告示、平成30年4月1日実施で新幼稚園教育要

領に改訂となります。今年度は周知徹底の年ということで

研修会なども盛んに行われています。そうしたことから、

保護者の皆様にも、かいつまんでの報告となりますが、

9月〜11月までの3回に分けて改定の内容をお知らせし

たいと思います。

 

***改訂の背景にあるもの***

 

人工知能が進化して人間

が活躍できる職業はなく

なるのではないか

 

今、学校で教えていることは

時代が変化したら通用しな

くなるのではないか

 

子どもたちに、情報化やグローバル化など急激な社会変化

の中でも、未来の創り手となるために必要な資質、能力を

確実に備えることのできる学校教育を実現する。

 

予測困難な時代に一人ひとりが未来の担い手となる。

 

○近年顕著となってきているのは、知識・情報・技術を

 めぐる変化の速さが加速度的となり、情報化やグローバ

 ル化といった社会変化が人間の予測を超えて進展。(後略)

 

○人工知能がいかに進化しようとも、それを行っているの

 は与えられた目的での処理である。一方で、人間は感性

 を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくの

 か、どのように社会や人生をより良いものにしていくの

 かという目的を自ら考えだすことができる。(中略)答え

 のない課題に対して、多様な他者と協働しながら目的に

 応じた納得解を見出したりすることができるという強み

 を持っている。

 

○(前略)予測できない変化に受け身で対処するのではな

 く、主体的に向き合って関わり合い、その過程を通して、

 自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創

 り手となっていけるようにすることが重要である。

 

○社会や産業の構造が変化し、質的な豊かさが成長を支え

 る成熟社会に移行していく中で、特定の既存組織のこれ

 までの在り方を前提として、どのように生きるかだけで

 なく、様々な情報や出来事を受け止め、主体的に判断し

 ながら、自分を社会の中にどう位置付け、社会をどう描

 くかを考え、他者と一緒に生き、課題を解決していくた

 めの力の育成が社会的な要請となっている。

 

※以上、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援

 学校の学習指導要領等の改著及び必要な方策等について

 (答申)」中央教育審議会<抄>

 

改訂の内容に触れる前に、保護者様にはまず改訂の背景を

知っていただきたいと考えました。それは…今から30年

前、まだ私が20代だった頃には、今では当たり前のよう

にある“物”が存在しませんでした。例えばスマホやイン

ターネット等です。“物”は物としてだけ存在するのではな

く、社会を変えていきます。

 

これからの30年後の未来は?予測困難な時代という一言

に表れています。今、園で遊ぶ子どもたちは30年後には

34歳〜36歳になっており、社会を支える一員に成長し

ています。今回の改訂もまた未来の子どもたちの人生と社

会を見据えてのものだとご理解いただきたいと思います。

園長 浅見 美智子

園長だより | 16:34 | comments(0)

園長だより H29年8月

楽しい1学期をありがとうございました

 

かにお会いする度に「ハァ、暑いですね」と口をついてしまう程、連日続く射るような日差しに本格的な夏の到来を感じます。子どもたちが大好きな裸足での遊びもこの頃は少々不便です。陽なたの園庭を横切る時「アッチッチッチッ…」と大慌て。木陰を上手に利用して遊んでいます。

 

晴天に恵まれてプールにも沢山入りましたね。水とのかかわり方も日を追うごとに変わってきました。友だちの上げる水しぶきを避けるように過ごしていた子も、次第にプールの真ん中で遊ぶようになり、水遊びの大好きな子はよりダイナミック、ビート板を使い泳いだり、もぐったりと、毎日の繰り返しの中で少しずつ少しずつ自分なりに試したり、挑んだりしながら、楽しさや出来ることを広げていきました。

 

日二日間に渡り行われた公開保育では、お子様の夏の園生活の様子をご覧いただけたことと思います。「子どもってすごいなあ。頑張っているよね」というお声を何度かすれ違い際に耳にしました。同じ場所にいて見ていただけたことを何より嬉しく感じています。お暑い中でのご参観を本当にありがとうございました。

 

やはり保護者様に見ていただいている場では、お子様により少々緊張が見られたり、いつも以上に張り切っていたり、逆に甘えん坊さんになったりと様々な姿が見られました。そうした普段とは少し違って感じられる様子も、それぞれの子どもの内面を知る手がかりとしながら、これからの保育の糧にしていきたいと思います。

 

さて、本日で1学期が終了となります。入園、進級後の新しい生活の中で、一人ひとりが自分の生活を創り、根づかせてきましたね。2学期には今の安定を軸にして、更に交友関係と活動の幅や奥行きを広げていくことでしょう。これから迎える夏休みには、大好きなご家族の皆様のもとで、ちょっと一息つきながら、園では出来ない夏ならではの経験を沢山味わって下さい。1学期のご支援とご協力に感謝申し上げます。皆様健康で安全な夏休みをお過ごし下さい。

 

とっておきの時間

 

の夕暮れ時に1人で買い物に行く道すがら、時折娘たちが幼かった頃の情景が浮かんできます。娘たちの足取りはいつだってのんびりとしたもので、さながら夕方のお散歩といった感じでした。私はこれからの予定や段取りのようなことを頭の中で気ぜわしく考えつつも、なんとものんびりとしたひと時が好きでした。

 

一年に一度か二度、ふと思い出す出来事があります。その日私は一人で近所のスーパーマーケットに向かっていました。道の前方にお子さんと手をつなぎ歩くKさんの姿を見つけました。一人歩きの私の歩くスピードはKさんたちよりも速く、隣に並んで歩く形になりました。

 

「お買い物ですか?」「はい、イトーヨーカドーに」「あれ、他のご弟妹は?」「家で留守番です。ウチは家族が多いから当番制にしてるのよ。今日はMが私と一緒に買い物当番」そんなやり取りをした後、Kさんははにかむように笑いました。「では、お先に失礼しますね」と言って足早にその場を離れたのは、KさんとMちゃんのひと時を邪魔したくないという思いからでした。

 

Kさんは4人のお子様がいらっしゃり、末の男の子が園に通っていました。そうした家族の一日の中で、親と子が一対一で向き合う時間を持つことは容易であろうはずがありません。時折買い物に行くKさんを見かける時、Kさんは必ずお一人だけお子さんを連れて、のんびりと楽しむように歩いていらっしゃいました。

 

Kさんの先を歩きながら、私は「やはり」と思いました。そして「Kさんは当番制という言葉を使われたけど…」と、その裏側に見えたお子さん方への深い愛情に胸を打たれました。

 

ドタバタ、あるいはあたふたといった表現がピッタリの私自身の娘二人との日常を省みていました。当時娘たちは4歳と6歳で、たいていは「何をするのも一緒」でした。けれども、一緒が「良かった」からではなく、親の私にとり一緒が「都合が良い」だけのことだと教えられた気がしました。様々な出来事を改めて思い返してみると、その時々で娘たちはサインを送ってくれていました。そのサインを私が意図せず、又はあえて見逃していたのでした。

 

の頃から20年弱が経った今も感じます。家族4人あるいは両親と娘3人で過ごす時の会話と、父娘、母娘二人きりでいる時のおしゃべりの在り様は、ほんの少しだけ違うように思います。他の家族が居る時には言えない秘密の暴露といった大げさなものではありません。ただやはり、一対一の親子で向き合うほんの少しの時間がとても大切でかけがえのないものだと感じています。

 

昔を懐かしみながら夕暮れを一人歩く時間やあれから、あれこれ考えて、時に娘一人とだけ一緒にお風呂に入ったり、膝に乗せて本を読んだり、車で迎えに行ったりした時に車内で過ごした時間、すべてが私にとって、たぶん娘にとってもとっておきの時間なのだったろうと思います。長い夏休み、ご家族の協力を得ながら、親子のとっておきのひと時を持っていただけたらと願っています。

 

園長 浅見 美智子

園長だより | 14:34 | comments(0)

園長だより H29年7月

【思いやる心を育てるために】

雨明けも間近とささやかれるようになり、いよいよ本格的な夏の到来です。プール遊びのある生活が始まって早2週間、子どもたちは「今日は入れる?」「雨やまないかな」と、晴天を待ち焦がれるようにして毎日を過ごしています。

 

先月16日のプール開きの日に、私はプール遊びでの「4つの約束」の話をしました。そして、そのひとつずつの「理由」を丁寧に伝えました。大人であれば様々な場所での「決まり」に理由が示されていなくても、経験から考えることができますが、年齢が幼いほどそうではありません。そして、その「理由」が解れば、子どもたちは納得し、約束や決まりを守ろうとします。心を動かすからです。

 

年度が始まり2ヶ月半が経ち、新しい生活、新しいクラスや友だちにも慣れ、子どもたちが大きく動き出しています。それは、興味のあることへの挑戦だったり、人との関わりであったりと様々です。毎年のように6月から7月にかけてはケンカや衝突といったトラブルが続発するのも、子どもたちが外へ外へと気持ちや行動を広げている証拠です。

 

集団生活の中では、自分とは違った考えや意見、価値観や性格を持つ人と出会い、共に生活するわけですから、当然、衝突やトラブルが起きてきます。親の立場からすると、やはり心配、悩みの種、やってもやられても気になります。「お友だちとは仲よくね。ケンカをしてはダメよ」と、日頃ご両親に言われて育ってきた子どもたちですが、子どもの立場からすると、これは立派な自己主張、自我の表れですのでやめるわけにはいきません。

 

しかし、だからと言って何でもOKでも、奨励するものでもありません。相手への伝え方(言葉)や行為にもルールがあるはずです。そのルールは何でしょうか?改めて考えてみる必要がありそうです。私自身は、人として許されないこと、明らかに危険であることを置いています。人として許されないことの中には、理由なく一方的、複数で単独に向かう、フェアでない等、様々ありますが、相手の存在をリスペクトしないということもそのひとつです。

 

どもたちはまだまだ「自己」中心的な価値観の中にあり、また他者に自分の「主張」を正しくスムーズに届ける術を知りません。だからこそ、どうしてその行為に及んだのかという「理由(気持ち)」をしっかり聞き、受け止め、更に相手の立場に立ち物事を考えられるように導き、善悪を考えたり、「主張(気持ち)」を正しく伝える術を知らせ学ばせていくことが大切ですし、そのことには幼ければ幼いほど繰り返しの経験とその時間が必要です。経験を取り上げるのではなく、様々な経験の中から自分の痛みと相手の痛みを感じ考え、本物の思いやる心を育てて欲しいと願っています。

 

全ては、心を動かせるかということにつながると私は思います。人は人との関わり、集団の中で生きているのですから。

 

【上野のおすすめ】

月末の休日に上野に用事があり出掛けました。せっかく上野に来たのだから美術館に行こう、何を見ようかと主人と歩き出した所で、小さな立て看板に出会いました。上野の森美術館で行っている「いもとようこの世界」という期間原画展の案内でした。

 

仕事柄、いもとようこさんの絵本は沢山見てきましたが、それは絵本の中だけで、こうして原画を見るのはもちろん初めてのことです。優しく、柔らかく、ほっこりしたといった印象のいもとさんの絵の特別なファンだった訳ではありませんが、原画を見て驚きました。印象がひっくり返るくらいの衝撃でした。なんと繊細で緻密で唸るほどの豊かな色彩を持つ絵なのでしょう。印刷された絵が逆に「ここから生まれたもの」だからこそ、そうした印象になるのだと後で思いました。「本物を見る」「百聞は一見にしかず」というものはそういうことなのでしょう。

 

美術館には大人だけでなく、多くの家族連れが来ていました。「つるのおんがえし」や「しあわせの王子」などの絵本の全ページを追った原画の下には物語が表示されて、幼児を抱っこしたお父さんやお母さんが小さな声でひとつずつ読み聞かせていました。

 

もしも美術館デビューという言葉があるならば、いもとさんのような絵本画家の美術展ほどふさわしいものはないでしょう。ここにいる子たち幸せだなぁ、私も(幼い)娘を連れて来たかったなぁと心から思いました。

 

は、こんな風に手遅れの後悔をしたことがもう一度あります。それは、雨天時の遠足候補地を探して、国立科学博物館に初めて行った時のことです。

 

そう思ったのは「もし、小さい頃にこの体験に出会っていたら、あるいは娘の進路や興味の方向性も違っていたかしら?」といった根拠のない想像もありましたが、単純に一緒に来たかった、見せたかった、この場で過ごす娘たちを見たかったからです。けれど、知らなかったのですから仕方がありません。

 

美術館や博物館、コンサートやミュージカル、まだうちの子には難しいかな、興味がないかなと思ったとしても、そこで楽しんでいる親を見たり感じたりするだけで大きな体験です。そして、一度体験した場所や出来事は「あっ、知ってる。来たことある」というだけで次の体験への敷居が低くなるものです。いつ、どこで、何の興味が開花するのか・・・きっかけや環境作りはとても重要です。それは「文化資本」という言葉でも教育関係の著者が記しています。

 

園長 浅見 美智子

 

園長だより | 20:40 | comments(0)
  

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サッカーパパについて

サッカーパパは、埼玉県坂戸市の坂戸幼稚園の事務長さんです。こどもたちとサッカーをするのが大好きなので、皆から「サッカーパパ」とか「サッカー先生」とか「ひげ先生」と呼ばれています。
サッカーでは、JFA(日本サッカー協会)キッズリーダー養成インストラクターでC級コーチです。FA(イングランドサッカー協会)のレベル1ライセンスも取得しています。坂戸幼稚園のサッカークラブでいつも元気にコーチをしています。

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「だんごろう」は、坂戸幼稚園のみんなが大好きな「だんごむし」です。当園のマスコットキャラクターになっています。

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